2016年9月24日土曜日

数理科学 Mathematical Science

サイエンス社から発行されている月刊誌『数理科学』の表紙の絵を、2016年8月号より毎号担当しています。

My artworks appears on the cover of a monthly magazine titled "数理科学(Mathematical Science)" every month since this summer.


2016年3月22日火曜日

個展のお知らせ


今週末から個展を開催します。ここ数年、数学的要素を取り入れた新たな方向性を探求しており、今回その新たな作品群を初出展します。これらはプログラミングを用いたアルゴリズミックな手法で作られたもので、今までのシールの貼り合わせのスタイルを継承しつつ、より幅広い表現方法にチャレンジしています。
展示作品の一部は下のサイトに掲載しております。

ハヤマトモエ 『絵画の設計』展
2016年3月26日(土)~4月30日(土)
(オープニングレセプション:3月26日17:00~19:00)
Takashi Somemiya Gallery
〒112-0014 東京都文京区関口1-24-8
TEL 03-3267-0337
営業時間/13:00~19:00
定休日/日、月、祝日 (4月1日は休廊)
最寄り駅/東京メトロ 有楽町線 江戸川橋駅 (1a出口) 徒歩5分
東京メトロ 東西線 早稲田駅 徒歩13分
Ecosystem 5 / 生態系 5 (2016)
φ600mm, アルミ板上にマーキングフィルム


Space 3 / 空間 3 (2016)
φ300mm, アルミ板上にマーキングフィルム

Illusion20160224
594mm×594mm, インクジェットプリント



2016年2月18日木曜日

制作過程:アルゴリズム→かたち→ペイスティング

3月26日からタカシソメミヤギャラリーで始まる個展に出す作品の制作過程を一部ご紹介します。前回の記事で紹介したように、今回の展示ではプログラミングを使って「かたち」を作りだし、それを様々な表現方法によって作品にしています。とくにカッティングシート*の貼り合わせ(ペイスティング)作品では、アルゴリズム的な方法論でいかにして絵画的なものを作り出すことができるか、という問題意識のもとで制作に取り組んでいます。

*「カッティングシート」は中川ケミカルの製品名ですが、ものに貼る粘着シートの代名詞として一般化していますので、製品会社によらず粘着シートを「カッティングシート」と呼んでいます。


左の作品は最近作ったペイスティング作品です。この作品の制作プロセスは主に次の2つで成り立っています。


  1. Processingでプログラムを書き、パラメータを動かして「かたち」を決定して、pdfファイルを作る
  2. pdfデータの色や階層を調整し、カッティングシートを階層ごとに切り出し、支持体に貼り合わせる

1つ目のプロセスについては、前回の記事でも書きました。プログラミングを使ったアルゴリズム的制作法の特徴は、設計と取捨選択にあります。プログラムを設計し、そこから生成された大量の「かたち」の可能性の中からこれだと思うものを選ぶ、というところに創造性があります。前回の記事では建築デザインの事例に触れましたが、音楽制作でも松本昭彦氏によってアルゴリズム的方法論が実践されています(「アルゴリズム作曲法によるコンピューター生成音楽」)。

2つ目のプロセスでは、情報から物質への行程、いわゆるマテリアライジングを行っています。分かりやすくいうと、私のペイスティング作品は版画の一種です。版画では色別に版を作り、版ごとに色を重ね刷りして絵を作りますが、私の場合それをカッティングシートでやっています。具体的にいうと、点の距離やつながり、またはセル・オートマトンなどのアルゴリズムによって「かたち」を階層化し、階層ごとの色や階層順序をIllustratorで調整しています。それをプロッタと呼ばれるカッティングマシーンでシートを切り、カッターナイフでかたちを切り出して(実はこの手作業が大変です)、支持体に貼りあわせます。支持体は平滑で硬い物体ならおおよそ貼りつけ可能であり、上の作品ではアルミ板に貼り付けています。




 

最近は3Dプリンタやレーザーカッターなど様々なマテリアライジング技術がありますが、カッティングシートとプロッタでの表現が優れているのはそのクオリティとコストです。私は3Mのカッティングシートを使っていますが、これは色数が多く発色に優れ、耐久性も高いため(屋外雨ざらしでも数年耐えるように作られています)、アート作品としての質を保てます。さらに層の厚みがあるため、重ね貼りをすると版画では得られない独特のマチエールを持ち、印刷やペインティングでは使いづらい支持体も使うことができます。また3Dプリンタでギャラリー展示サイズのものを作るとしたら相当なお金がかかりますが、カッティングシートだと個人制作可能なレベルまで予算を抑えることができます。

ハヤマトモエ個展 『絵画の設計』
2016年3月26日(土)~4月30日(土)
Takashi Somemiya Gallery
〒112-0014 東京都文京区関口1-24-8
TEL 03-3267-0337
営業時間/13:00~19:00
定休日/日、月、祝日
最寄り駅/東京メトロ 有楽町線 江戸川橋駅 (1a出口) 徒歩5分
東京メトロ 東西線 早稲田駅 徒歩13分

2015年12月23日水曜日

Architecture of "painting" by Processing

(日本語)

Hello! I am Tomoe Hayama. I have been working on graphic art and recently focusing on generative art in particular. My solo exhibition is scheduled from March 26 to 30 April 2016 at Takashi Somemiya Gallery. In this article, I introduce my artworks in progress and idea behind them.

 photo popcorn_B4.gif
"Popcorn"(2005) 
Let me introduce the history of my past artworks briefly. I started my career as an graphic artist 10 years ago with pasting and stacking decals. A main ingredient of my early works is sticker of model cars for Japanese boys (see the left one). Seeing these pieces, the design of stickers comes from typography, geometry and effect which boys like. I recomposed them and made artworks.

Here I draw artworks by "pasting", which is like "painting". A traditional "painting" made by brush, pencil and oil for example. But today "cut and paste" is more primitive way to make something. I have been trying to make artworks by "pasting". This technique is also used in graffiti art. Developing this "pasting" method, I make pieces of decals by cutting plotter and compose artworks.

The aim of my current art project is to make clear the process of generating "shape" of my artworks and describe its algorithm. I expect this algorithmic/computational approach gives wider expression beyond human scale. This is my motivation for generative art.

A difficult point of this project is this: how do I analyze the essence of shape of my artworks? My artworks are made by pasting and stacking pieces. Shape and flow of them are ruled by my human sense, which is difficult to analyze. This unanalyzable sense identifies what I make. So, how do I program a platform of making shape which admit of my human sensitivity.

system of 
ka(か)/kata(かた)
/katachi(かたち)
Formalization of process of making shape has been discussed in architecture. Kiyonori Kikutake, a Japanese architect who leads Metabolism movement, proposed three steps to generate a shape: "ka", "kata" and "katachi". Here "katachi(かたち)" means shape and is composed of three Japanese character. Reducing these characters, "kata(かた)" and "ka(か)" have different meanings and he applied the meanings to the process composing "katachi". To be brief, "ka" is a conceptual phase; "kata" is a technical phase; and "katachi" is a substantial phase. This idea is similar to the one of order/form/shape of Louis Kahn. If you generate a shape, you trace steps from "ka" to "kata" to "katachi". On the other hand, if you recognize a shape, you trace backward: "katachi" to "kata" to "ka". Process of architecture is to trace the vertices of the triangle composed of "ka", "kata" and "katachi" in both direction (see the right diagram).

Kikutake's idea is too theoretical in 1960's to put in practice. However, it is valid in practice today because of the development of algorithmic design tools like Rhinoceros+Grasshopper. That is to say we may program "kata" and generate "katachi" by running the program. If we set parameters and glide them, we may get infinitely many shapes. Then making a good shape is equivalent to choosing a good shape. To make a better shape, we should give suitable parameters and choose better one. The "ka/kata/katachi" theory after algorithmic design is updated by Shohei Matsukawa.

I want to apply the above idea by architects to my art project. I suppose "ka/kata/katachi" is adapted as follows:

  • "ka": identity of my artworks, essential element
  • "kata": drawing program with parameters, procedure of generating shapes
  • "katachi": final form of artworks    
katachi - "The deadly sin" (2016)
Making artworks in the direction from "ka" to "kata" to "katachi" seems to be difficult.  "ka" is related to my human sensitivity, and it is hard to program. In addition, existence of idea of art is a main problem in post-modern art world.

I think a natural direction to make artworks is "katachi" to "kata" to "katachi". I mean we should find out "kata" at first from "katachi" and make variations of "katachi" by parametrization. We just choose a better one and brush up. Then "ka" will rise up later.

My project started with programming a code ("kata") by Processing from my past artworks ("katachi"). The following program is modeled on the "blowup" series. The controllers on the left side deform shape of object.

kata - drawing program by Processing
.

Exporting a vector image data and cutting decals, I paste and stack them on metal materials as follows.
 photo 2015-12-05-11.48.jpg
φ60cm decals on stainless board

 photo 2015-12-05-11.48.jpg
φ60cm decals on steel board
Advantages of Processing is flexibility of media of final form. We may have several ways to output. By using a photo-realistic rendering library, a different expression is available from the same program.  

kata - drawing program by Processing
rendered image 1

rendered image 2

 photo 2015-12-18-12.jpg
560mm×457mm print with metal frame
In the solo exhibition, the above series of pasting and photo artworks will appear. See you next year!


Tomoe Hayama solo exhibition "Architecture of painting"
March 26 - April 30, 2016
Takashi Somemiya Gallery
Sekiguchi 1-24-8, Bunkyo, Tokyo 112-0014

2015年12月22日火曜日

Processingを使った絵画の設計

Processing Advent Calender 2015参加記事

(in English)

こんにちは。私はハヤマトモエという名義で10年ほど前から絵画制作をしてきました。ここ2年ほどジェネレイティブな手法を取り入れた新たな作品を作るため、試行錯誤しています。来年3月26日から4月30日までタカシソメミヤギャラリーという所で個展をするのですが、そこで展示する作品をすこし紹介させていただきます。

 photo popcorn_B4.gif
"Popcorn"(2005) 
まず私が今まで作って来た作品について簡単に紹介させてください。私の作品の大きな特徴は、シールの切り貼りによってできていることです。初期の作品では、ミニ四駆の装飾用ステッカーを平面に貼り合わせることによって絵を描いていました。この作品シリーズを出発点に、部分ごとに分けて描かれた模様・タイポグラフィ・エフェクトをカッティングシートに切り出し、それらを貼り合わせて絵を描く、という技法によって作品を作ってきました。絵の具をキャンバスに塗って絵を描くように、ここではシールを平面上に貼りあわせることで絵を描いています。グラフィティでも同様に貼り絵を使った方法で絵を描く(貼る)ことがあり、この技法は「ペイスティング」とも呼ばれています。

私の絵で描かれている「かたち」が生まれるプロセスを明確にし、その手続きをアルゴリズムにすることで、より幅の広い表現が可能なのではないか?これを動機として私はジェネレイティブな手法の可能性を探求しています。例えば、「これは自分の絵だ」といえるような「かたち」の本質はどこにあるのか。私の絵は、記号的な意味を排して分解すると、個別のパーツに分解することができます。それらを組み立てて総体としての「かたち」を構成するとき、そこには感性や手癖といった非論理的(アルゴリズム化困難)な基準が介在します。この絵が「私の絵」たらしめているのは、まさしくそういった非論理的なものを含んでいるからです。そういったものも含めてうまく「かたち」を生成するプラットフォームを作ることを目標としています。

『代謝建築論』p.14
このような「かたち」のプロセス論は建築では古くから議論されてきました。メタボリズムの建築家菊竹清訓は著書「代謝建築論」にて、「かたち」を作り出すには「か」「かた」「かたち」の3段階があるという方法論を提唱しています。これによると、構想的段階(本質的な核となるイズム)として「か」があり、次に技術的段階(実体にするための技術的媒介)として「かた」があって、最終的に形態的段階である「かたち」になる、この3段階のプロセスによって「かたち」の生成を捉えることができます。またこのプロセスを逆に辿ることによって「かたち」を認識することが可能であり、認識と実践を繰り返すこと(「か」「かた」「かたち」の三角形の頂点を行き来すること)で「かたち」の設計がなされている、と考えることができます。

この「かたち」のプロセス論は、『代謝建築論』の当時は理論的なアイデアに過ぎなかったかもしれませんが、Rhinoceros+Grasshopperなどによるアルゴリズミックデザインの発達によって、現在では実践的に有効な方法論となりました。つまり「かた」の部分をアルゴリズムで記述してコンピュータを走らせ、「かたち」を生成するのです。アルゴリズムにパラメータ変数を加えてそれを動かせば、無限の「かたち」の可能性からジャストな「かたち」を選択することによって、「かたち」を作り出すことができます。こういったアルゴリズミックデザイン以降の「か・かた・かたち」の方法論は松川昌平著「設計プロセス進化論」(『設計の設計』収録)によってアップデートされています。

この「か・かた・かたち」の方法論を絵画制作に取り入れるとどうなるでしょう。次のように考えることができます。
  • 「か」: 絵の本質、作家性、その作家の絵だとアイデンティファイさせるもの
  • 「かた」: パラメータ変化可能な描画アルゴリズム、データを物体にするまでの手続き
  • 「かたち」: 最終的な作品形態
「かたち」 "The deadly sin" (2016)
この「か」に当たるものは、感性の領域にあるもので、それを明確に記述(プログラム)するのは難しいでしょう。ですので、
「か」→「かた」→「かたち」
という方向で作るのは困難だと思われます。そもそも作品に「本質」があるのか、というのがポストモダン以降の作品制作の基本姿勢でしょう。

絵画の制作には、まずは作品の「かたち」からさかのぼってその「かた」を見出し、パラメータ変化させて生まれる無数の「かたち」の中からいいものを選ぶ、つまり
「かたち」→「かた」→「かたち」
の方法が自然なのではないかと思います。取捨選択されたもののなかから「か」が浮かび上がる、と捉えるべきでしょう。

今回の作品制作では、今までの私の作品の「かたち」から、その「かた」をProcessingでプログラムすることから始めました。今までの作品に爆破型の「かたち」のシリーズがあるのですが、これをモデルに描画プログラムを組みました。左のフェイダーをいじることで、かたちをパラメータ変化することができます。
「かた」 Processingによる描画プログラム
.

これをベクター画像データとして出力し、3Mのマーキングフィルム(カッティングシート)に切り出して貼りあわせた作品(「かたち」)が以下です。
 photo 2015-12-05-11.48.jpg
φ60cm ステンレス板にマーキングフィルム

 photo 2015-12-05-11.48.jpg
φ60cm 鉄板にマーキングフィルム
Processingの強みは、最終出力メディアの自由度が高い、ということです。上のようにベクター画像として出力できる一方、フォトリアリスティックなレンダリング(光や反射を計算して、写真の様な画像を描きだすアルゴリズム)のライブラリを使って画像を描き出してやると、同じ「かた」から異なる表現方法による「かたち」を生み出すことができます。

「かた」 Processingによる描画アルゴリズム
rendered image 1

rendered image 2

 photo 2015-12-18-12.jpg
560mm×457mm ラムダプリント出力に額装
来年の個展ではProcessingで生み出した「かたち」をテーマに、ペイスティングと写真の作品を展示予定です。どうぞよろしくお願いします。

ハヤマトモエ個展 『絵画の設計』
2016年3月26日(土)~4月30日(土) (予定)
Takashi Somemiya Gallery
〒112-0014 東京都文京区関口1-24-8
TEL 03-3267-0337